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青春さまの青春鉄道、紙端国体劇場作品の二次SSブログです。 同人、腐、女性向けなどに理解のない方、義務教育を終了していない方は、ご遠慮ください。 実在の個人、団体、鉄道等とは一切関係ございません。

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 「君を恋う 6」の続きです。




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君を恋う 7

 両手首を留められ、噛みつくようなくちづけを受けながら、東海道新幹線は抵抗しなかった。力が足りなかったわけではない。驚きすぎていたのと、それが山形新幹線のもたらしたものだったからだ。
 長い数分ののち、山形は東海道の拘束を解いた。
「どうした」
傷ついた、すさんだ目をした恋人に、東海道が問う。
「山形、なにがあった」
しずかだが、深いひびきで。
「山形」
「だっておめさが……っ」
 山形は目をとじて絞りだすように言って、そして東海道を見て、絶句した。あらわになった東海道の肌はまっさらで、赤い痕跡はそれぞれに虫の刺したしるしがあった。山形は、自分の疑心が暗鬼を生じたのだと、ようやく気づいた。
 山形は首をふった。なにも言えず、畳に視線をおとして首をふりつづけた。東海道が一歩、前にすすむ。
「山形、わかった。もう訊かない。大丈夫だ。大丈夫だから、山形…山形」
自分より高い恋人の頭をかき抱き、抱きしめて語りかける。くりかえし、くりかえし。
 やがて、東海道の肩に、恋人の額がおりてきた。頼りなげに話しだす。
「とーかいど」
「なんだ」
こたえる東海道は、落ちついた声音だ。
「送ってくで、宿さ戻るか」
「まさか。わたしは、おまえを祝いに来たのだぞ」
「だども……」
「やまがた」
東海道は、甘みをおびた声で呼びかけるや、山形の頭をささえてくちづけた。思いを伝えるように、深く。…長く。
 そして言い切る。
「泊まっていく。風呂を借りるぞ」
山形に逆らえるわけがない。
「…じゃあ、客用の布団をしいとくべ」
「必要か」
東海道がまっすぐな目で問う。
「今日のおまえは、たしかにふだんとは違う。だが、どんな山形も山形だ。わたしの山形新幹線だ。そうだろう」
山形は答えられない。ひとつのベッドに入って、自制する自信がない。逡巡する山形に、東海道はため息をついた。
「おまえが必要だと思うなら、しいておけ。ただし、忘れるな。おまえは、おまえだけは、わたしを好きにしていいのだぞ」

 東海道新幹線がバスルームから出てきたとき、布団はしかれていなかった。それを見て頬をゆるめた東海道は、すわりこむ恋人の手をとって奥の間へいざなった。山形新幹線は、やはり自制ができなかったが、恋人はすべてを赦してくれた。抱いているのに抱かれているようだと、山形は思った。
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削谷 朔(さくたに さく)
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山形新幹線×東海道新幹線が好きです。
でも基本的に雑食、無節操ですのでご注意ください。
鉄分のない駄文ですが、よろしければ覗いていってください。
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