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青春さまの青春鉄道、紙端国体劇場作品の二次SSブログです。 同人、腐、女性向けなどに理解のない方、義務教育を終了していない方は、ご遠慮ください。 実在の個人、団体、鉄道等とは一切関係ございません。

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 「君を恋う 5」の続きです。




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君を恋う 6

 にぎにぎしい飲み会は、山形新幹線を中心に集合写真をとって、日付が変わるまえにお開きとなった。まだ飲みたいものは各自で集会室を使いつづけ、宿舎の違うものは、朝まで客間や空き部屋で雑魚寝をしていくのも恒例だ。
「東海道上官、客間に布団をご用意しましょうか」
 在来線の心づかいを、東海道新幹線は固辞した。
「せっかくだが、駅前に宿をとってある。それに、わたしがいては他のものがリラックスできないだろう」
ああやっぱり、と山形は思う。宿をとってある、つまり彼には予定があって、そのついでに宿舎に寄ってくれたのだなと。わざわざ来てくれてありがたいという気持ちの裏で、帰したくない、と山形の本音が顔をだす。
「もう遅いし、酒も入ってるべ。おれの部屋さ泊まってけばええよ」
東海道は、ぱっと顔を輝かせた。
「そうか! とつぜん来て、迷惑ではないか」
「んなわけねえべ。わかってるくせに」
「うむ、そうだな。長いつきあいだからな。では、遠慮なく世話になろう」
嬉しそうに、ほのかに頬をあからめる彼を、めんこいなあと山形が見る。その目はやさしく、居合わせた在来線はゆえ知らずどぎまぎして
「で、では、布団をひと組、上官のお部屋にお持ちします!」
敬礼して走り去っていった。

 山形らしい部屋だ、と上着を脱ぎながら東海道は見まわした。バス・トイレ・キッチン付きの、二間つづきの洋室。奥にはベッドと書斎のスペースがあり、手前の部屋には畳をしきつめて、ちゃぶ台と夏柄の座布団をしつらえてある。部屋の仕切りに藍染ののれんがかかり、かすかに畳のにおいがする。和室のすみに客用の布団がおいてある。余分なものはないが、殺風景ではなく、うるおっている。山形の部屋だ、と初めてなのに東海道はほっとした。
 そんな恋人に、山形は目を眇めた。気をぬいた東海道の顔色がよくない。目の下に、かすかに隈も浮いている。寝不足か、と思ったが、彼は義務のように睡眠をとるBTだ。山形の知るかぎり、よほどの繁忙期か、休前の夜に山形が無理をさせたときぐらいしか、このような状態にはならない。
(だども、ゆうべは何も、させてもらえなかったしなあ)
脱いだ上着のしたは半そでの開襟シャツで、華奢な腕をさらに細くみせている。
「山形。きのう、わたしに、いいかげんなことを言うなといったが」
 山形の心配もしらず、東海道は嬉しそうに胸をはり、あごをそらして言った。
「どうだ、ちゃんと来ただろう」
しかし山形の耳に、その言葉は届かなかった。東海道のそらされたあご、くびすじ、半そでからのぞく腕に、赤い痕跡を見てしまったからだ。
 山形のどこかが、音をたてて切れた。一瞬のうちに理性を失し、東海道の両腕をとらえ、壁にどんと圧しつける。東海道の目が見開き、その手から上着がおちた。山形は、さらに両手首を左手でつかみあげると、あいた右手でシャツの襟をひらいた。鈍い音がして、ひとつふたつボタンが飛び、東海道のうすい胸があらわになった。
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削谷 朔(さくたに さく)
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山形新幹線×東海道新幹線が好きです。
でも基本的に雑食、無節操ですのでご注意ください。
鉄分のない駄文ですが、よろしければ覗いていってください。
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