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青春さまの青春鉄道、紙端国体劇場作品の二次SSブログです。 同人、腐、女性向けなどに理解のない方、義務教育を終了していない方は、ご遠慮ください。 実在の個人、団体、鉄道等とは一切関係ございません。

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「君を恋う おまけ1」のつづき、前半です。
 新庄の宿舎で、奥羽本線がでてきます。

+ + + + + + + + + +

君を恋う おまけ2-1

 
 奥羽本線が宿舎に帰ると宅配便がとどいていた。
 差出人は「JR東海 高速鉄道」。品名は「食品」。おどろいたが、宛名が「奥羽様、皆様」となっていたので合点する。便宜上、本線である奥羽を代表としてあるが、要は宿舎のみんなに送ってきたのだろう。
「おっ…もいなあ。おい、運ぶの手伝え」
出迎えてくれた留守居の部下は素直にうなずく。
「はい。お部屋ですか」
「集会室だ。みんないるだろ」
仲間たちは、おおむね気心が知れて仲がよく、個室にこもらずに集まっていることが多い。今夜もテレビを見たり弁当を食べたり飲みながらトランプをしたりしていた。
「おおい、ちょっと場所あけろ」
一声かけると
「もらいます、奥羽さん」
「でかい箱ですね」
「持ちますよ」
複数の手がのびて荷物をさらっていく。
 薔薇のもようの包みを開くと、さまざまな東海の名産品と直筆の礼状が入っていた。奥羽は礼状をざっと読み、わくわくと注目している仲間に伝える。
「東海道上官からだ。先日の山形上官のお祝いに参加されて楽しかった旨と、料理がおいしかったことにお礼の言葉をいただいた。さらに、私たちの人間関係が良好であることを褒めてくださっている。『今後も諸君の良風を生かし、鋭意職務を全うされんことを望む』と」
わっと場が盛りあがった。率直にほめられて嬉しくないわけがない。まして厳しいと評判の東海道新幹線の言葉である。
「お礼状はしばらく置いとくから、今いないやつにも見せてやれ。いただきものは…日持ちしそうだな」
「大丈夫です」
「瓶づめとか真空パックとか、いっぱいです!」
「うまそう」
「おいこれ何」
「しらん、見たことない」
「きっと、うまいんだよ。だって上官のプレゼントだぜ」
「おお、たしかに」
 若い者たちが宝さがしよろしく箱の中身を物色しはじめる。素朴さに奥羽は微笑む。
「みんなにもらったものだから、みんなでいただこう。だれか、飲み会の幹事やってくれ」
「はい、おれやります」
すかさず手があがった。
「ちかぢか企画立てて、セッティング頼むな。要点は全員出席と、せっかくの食材をおいしく料理すること。酒代はおれが持つから、日にちが決まったら言いにこい」
「はい、奥羽さん」
やった、飲み会だと、和気藹々と活気づいた集会室をあとにして、奥羽は自室にむかう。
(まずは風呂に入って、東海道上官にお礼状を書いて。明日の朝いちで出さなきゃな。ああ、残業中におにぎり食っといて助かった)
凝った頸をコキコキと鳴らしながら。

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